
天ぷらには関東風と関西風の二つのスタイルがあります。関東風の天ぷらは、卵を入れた衣を使用し、香り豊かな胡麻油で揚げるのが特徴です。この方法で揚げた天ぷらは、外側がこんがりサクッとキツネ色に仕上がり、食欲をそそる見た目になります。もともと関東では、江戸前で獲れた新鮮な魚を天ぷらにしていたため、その魚の臭みを抑えるために香ばしい胡麻油で揚げるようになったと言われています。関東の天ぷらはその風味の豊かさとパリッとした食感が魅力です。
一方、関西風の天ぷらは卵を入れない衣を使い、サラダ油で揚げるのが特徴です。この方法で揚げた天ぷらは、衣が白く仕上がり、軽やかな食感が楽しめます。関西では、もともと野菜中心の食材を天ぷらにしていたため、その自然の風味を生かすために、天つゆを使用せず、食塩をつけてシンプルに味わうことが一般的でした。野菜本来の甘みや旨味を引き立てるこの方法は、素材の良さを感じることができます。
「天ぷら」の語源についても興味深い説がいくつかあります。一説によれば、「天ぷら」という言葉はポルトガル語の「四季の斎日」を意味する「テンポーラ」に由来すると言われています。四季の斎日とは、季節の始まりの三日間に祈りと節食を行う習慣で、この期間中、信者は肉を食べることを禁じられていました。その代わりに、魚などに小麦粉の衣を付けて調理した料理を食べていたと言います。この料理が日本に伝わり、現在の「天ぷら」となったとされています。
他にも、「天ぷら」の語源にはいくつかの説があります。例えば、ポルトガル語で調味料や料理を意味する「テンペロ」に由来するという説や、漢字の「天(あ)・ぶ・ら」に由来するという説などがあります。しかし、これらの説のうち、どれが正しいかはっきりとした結論は出ていません。天ぷらの歴史と語源には、異なる文化や時代の影響が色濃く反映されていることがわかります。