おせちの歴史

コラム
2025年01月01日

 お正月を彩るおせち料理。華やかなお祝い料理としても、お正月用の保存食としても、おせち料理は欠かせない存在です。そんなおせち料理には、実は非常に長い歴史があることをご存知でしょうか?

 おせち料理の原型は、紀元前2~3世紀、つまり弥生時代に誕生したと言われています。この時代、人々の暮らしは狩猟から稲作を始めとする農耕に移行し、それに伴い、豊かな恵みを神に感謝する行事が行われるようになりました。この行事が行われたのが、中国からもたらされた「節」。季節の変わり目とされるこの「節」に、人々は神からもたらされた恵みを備え、神と共にそれをいただいていました。これがおせち料理の始まりでした。

 奈良時代から平安時代にかけて、朝廷ではこの「節」の日に「節会(せちえ)」と呼ばれる宮中行事を開くようになりました。この「節会」もまた中国にその起源を持つ行事で、神への祈願と共に宴が開かれるものでした。この「節」の行事は「節供」と呼ばれるようになり、1年に5つ設けられました。1月7日(人日)、3月3日(上巳)、5月5日(端午)、7月7日(七夕)、9月9日(重陽)がそれにあたります。元日も節供の一つとして数えられました。

 この節供の際に用いられていたものが「御節供料理」と呼ばれ、現在の「おせち料理」の語源になったと言われています。しかし、江戸時代になると、庶民の間にもおせち料理を真似る者が現れました。彼らは独自の粋やユーモアでおせち料理を変化させ、現代のおせち料理のスタイルが誕生したのです。そして、おせち料理は節供の中でも最も一般的にお祝いされるお正月のご馳走として定着しました。

「おせち料理」という名前が使われるようになったのは、第2次世界大戦後、デパートが「御節供料理」を「おせち料理」と略して売り出したことがきっかけと言われています。手作りが当たり前だったおせち料理も、デパートや通販で簡単に購入できるようになり、そのスタイルも様々に変化しています。それでも、おせち料理に込められた人々の願いや感謝の気持ちは、今も変わらず続いているのかもしれませんね。

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