料理人なら常識?「包丁」の歴史

コラム
2023年08月23日

包丁という名前は、本来は「庖丁」と書いておりました。「庖」は「くりや」即ち調理場の意味で、「丁」は「男」だから、庖丁とはくりやの男、つまり板前さんのことです。

調理人なら誰でも庖丁かというそうではない「庖丁」とは、中国の古典(戦国時代の思想書)【荘子】に出てくる、当時の王に仕えた伝説的名調理人の固有名詞とされています。今から約2300年ほど昔の話です。刀さばきの名人だった「庖丁」さんの愛用した刀だから「庖丁刀」とよばれ、この庖丁刀を省略して単に庖丁と呼ばれるようになったと自書には書いてあります。しかし中国では現在でも日本の菜切りに相当するタイプの庖丁を「菓刀」、日本で中華庖丁と呼ばれるタイプの菜刀とよび、庖丁とは呼ばないようです。

そうなると、どうやら包丁を定義すれば「料理に使う刃物を呼ぶ日本独特の名称」ということになるようです。今現在、日本で最古の包丁の遺品が現存するのは、ならの正倉院です。名前は庖丁だが総長38㎝と41㎝で、つばのない日本刀に似た形状のものです。この日本刀型包丁は徳川初期に至るまでおよそ900年の間、主に魚用として使い続けられたそうです。現在の和庖丁に形が定まったのは徳川末期の文化・文政年間の頃に現在使われている、菜切・薄刃・出刃・蛸引・が登場しました。嘉永・安政年間(1800年〜1860年くらい)の頃に柳刃・江戸型うなぎ裂きが登場し、今に至っています。

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