蝦蛄はハイテク生物?

コラム
2024年05月01日

  • 命名の由来

江戸時代には、シャコは「シャクナギ」または「シャクナゲ」と呼ばれていました。その名前は、淡い灰褐色の殻を茹でると紫褐色に変わり、これがシャクナゲの花の色に似ていたことから付けられました。シャクナゲは石楠花とも呼ばれ、石花が「シャクカ」となり、「シャコ」という名前に変化しました。

  • 時速80kmの強烈なパンチ

シャコは、エビと同じ節足動物の仲間ですが、シャコ科に属し、日本近海では約20cm、海外では約30cmまで成長することがあります。シャコの特徴は、ハサミの代わりに腕のような捕脚(ほきゃく)と呼ばれる器官を持っていることです。これは人間の腕に例えると、二の腕にあたる基部と、肘より先の指節に別れ、基部の内部には3本の可動蕀(きょく)があり、指節には6本のトゲを持っています。

 エビのハサミが前を向いているのに対し、シャコの捕脚は腕全体がハサミのようになった構造で、内側に向いて開きます。シャコは砂地の海底に巣穴を掘り、外に出ずに生活します。巣穴から顔をのぞかせ、通りかかるエサを捕脚で素早く捕らえ、巣穴に引きずり込みます。その速さは1秒未満で、自身より大きな魚さえも捕獲します。

 シャコの得意技の一つは強力なパンチで、捕脚を伸ばして相手を殴りつけることがあります。時速80kmにも達するその速さは、プロボクサーのパンチ速度(時速30〜50km程度)をはるかに上回ります。また、シャコは気性が荒く、縄張り意識が強いため、近づく者に攻撃的に反応します。

  • 前後左右、多彩な視覚

シャコの目も特異で、小さな目(個眼)が複眼として集まり、上下2分割の構造を持っています。これにより、前後左右を同時に見ることができます。人間が識別できる色は赤、緑、青の三原色しかないのに対し、シャコは11〜12の原色を見分けることができます。さらに、紫外線や赤外線まで検出できるため、獲物を発見しやすくする進化の結果とされています。この技術は光学ドライブなどに応用できる可能性もあり、次世代の技術に期待されています。我々が揺れる光を感知するのに対し、シャコは波を描く光を描きながら、身をくねらせて進むヘビのような動きで進みます。

 かつては豊漁だったシャコも、東京湾を含む日本各地での漁獲量が激減しています。江戸前の名は、東京湾で獲れた魚介を指し、江戸前寿司などで知られています。自然環境を守りながら、江戸前の伝統を守るために、シャコの資源を大切にすることが重要です。

ご質問や各種お問い合わせはお問い合わせフォームか、お電話よりご連絡下さい。
お問い合わせは、原則2営業日以内にご回答差し上げております。