昆布をオーブンで加熱すると・・・

コラム
2025年02月19日

昆布は、日本料理において重要な役割を果たしており、特にだしの風味源として知られています。京都の料亭で代々使用されてきた「幻の昆布」は、蔵で長期熟成された昆布のことを指し、その極上の味わいの秘密は、桃やメープルシロップを思わせる甘い香りにあります。この甘い香りは、昆布の表面にある多糖類が長期間保管されることで断片化し、昆布内のアミノ酸と反応して「アミノカルボニル反応」を引き起こし、甘い香りが生まれることに起因します。

 江戸時代には、北海道から京都へ昆布を運ぶのに長い時間がかかり、その間に昆布は熟成され、独特の風味が生まれていました。この反応は、ホットケーキなどが加熱されたときに生じる甘く香ばしい香りと同じ原理です。これに着目し、昆布をオーブンで加熱することで、この熟成過程を早めることができるという実験結果が得られました。オーブン加熱によって、手軽に複雑で甘い香りの熟成昆布を作ることが可能になりますが、この方法に適した昆布は、厚みのある利尻、羅臼、新昆布など特定の種類に限られます。

この発見は、昆布の持つポテンシャルを最大限に引き出すための新たな方法として、料理の世界に新しい可能性を提供しています。ぜひ、ご家庭でも試してみてはいかがでしょうか。

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