
青色の食べ物で思い出すのは?と問われれば、「ゼリー 」 や「ラムネ味のアメ」「ブルーハワイ」などと答える人が多いだろう。いずれも、人工の食べ物・飲み物ばかりだ。 自然の食材ではブルーベリーがあるが、名前に反して、その皮の色は青ではなく紫色だ。一般的に、自然界に青い食べ物は、ほとんど存在しないといわれている。
昔から、日本ではホウレンソウなどの葉物を「青物」と呼ぶが、実際には緑色である。植物の葉が緑色をしているのは、光合成をしているためである。葉っぱは、太陽光のうち、赤色に近い色と青色に近い色を吸収してエネルギーにしている。そして、残った緑色に近い色を反射するため、人間の目には緑色に見えるのだ。また、多くの動物も、黒や茶色のメラニン色素、 赤や黄色を作るカテロイドという色素しか持たず、青色の色素を持つものは、ごくわずかしかいない。青く見える魚も、青色だけを反射して、人間の目に青く見えているにすぎない。そのため、見える角度を変えれば、色が変わる。というわけで、野菜も食肉も魚にも、青いものはほとんど存在しないというわけである。
人類も他の動物も、そういう環境下で食料を調達してきたため、青色の食べ物を見ると本能的に警戒し食欲が減退するというプログラムがきざみこまれているといわれている。実際、レストランや食堂では、青系統の家具や食器、内装はあまり使われず、照明も青みがかかった蛍光灯ではなく、白熱灯を使っているところが多い。近年は、料理が涼しげに映えることから青系の食器が使われるようになってきているが、昔は心理的に食欲減退する色として避けられてきた。
また、アメリカではよく青いクッキーや青いクリームのケーキ、ゼリービーンズなどが売られている。これらは、もともとは食欲を減退させる目的でダイエット用に作られたものが、珍しがられて現在では一般にも食べられるようになったという。