タコやイカの墨って何?

コラム
2024年10月16日

イカとタコは、水中の世界で共に目立つ生物であり、類似点が多いように感じられるかもしれません。外見上も、頭部とその下に続く胴体に内蔵が集約され、多数の吸盤付きの腕を持っています。腕の根元に位置するカラストンビと呼ばれる口部や頭部は、一見するとよく似ていますが生物の生態や体の構造には実は多くの違いが存在します。

イカとタコは、自らを守るための独特の仕組みを持っています。その一つが、敵からの攻撃を避けるための「墨汁」です。この墨汁は、危機的な状況で噴出され、一時的に敵を惑わせたり、攻撃を避けるための煙幕として使用されます。

タコの体内には、肛門近くに墨汁嚢の出口があり、危険を感じると括約筋が開き、墨汁を相手に向けて吹き出します。一方、イカも似たような機能を持っていますが、その配置は異なり、肝臓の腹面に位置しています。いずれの生物も、この墨汁は括約筋の意志的活動により、噴出される仕組みとなっています。

この墨汁に含まれる主成分は「セピオメラニン」というメラニンの一種です。特にイカの墨汁には、セピオメラニンがマグネシウムやカリウムを伴った塩類化合物として存在し、これにより墨汁は粘り気を持ち、海中で瞬時に広がることなく、塊状になります。この性質が、敵からの攻撃を避けるダミー効果を生み出します。タコの墨汁にもセピオメラニンが含まれており、アミノ酸の一種であるチロシンが酸化されて形成される。さらに、タコの墨汁には、天敵を一時的に麻痺させる特殊な成分も含まれており、これによって天敵からの逃走を助けます。

敵に襲われると、瞬時に墨汁を吐き出し、その煙幕の中で逃げることができます。そして驚くべきことに、この墨汁の補充は非常に迅速で、わずか30分程度で墨汁嚢は満タンになるのです。

このように、イカとタコは自らを守るための独特で効果的な戦術を持っているのです。

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