
「梅雨の水を飲んでうまくなる」と関西では言われている程、鱧(ハモ)は梅雨時期に食べると美味しいとされています。この言い伝えは、鱧が産卵期を迎える入梅時から旬を迎えることに起因しています。脂がのり始め、身が柔らかくなり、美味しさが増すのです。そして、産卵後に体力を回復し、秋になるとさらに脂がのり、より美味しくなります。この時期の鱧は「松茸ハモ」、金鱧、名残鱧と呼ばれています。まるで初がつおと戻りがつおの関係のようですね。
鱧は鰻の仲間に属し、鰻は栄養豊富で知られています。同様に、鱧も栄養満点で、カルシウム、鉄分、DHA、EPA、リン、ビタミンB1、B2、コンドロイチンなどが豊富に含まれています。特に、コンドロイチンやEPAは皮膚の老化防止に役立つことが知られています。鱧は、皮から骨まで無駄なく食べることができ、夏バテ知らずの健康食材と言えるでしょう。
鱧という名前の由来には、古代の蛇を指す言葉である「ハミ」から転じた説や、大きな口と鋭い歯で噛むことから「食む」や「歯持ち」が転じたという説があります。いずれにせよ、鱧は「魚に豊」を意味し、パワフルで美味しい魚を象徴しています。夏の味覚として、鱧の旬を楽しんでみてはいかがでしょうか。