ウナギ特集

コラム
2024年10月02日

天然と養殖は味が違う?

 現在のウナギ市場では、99.9%が養殖ウナギとなっています。これらの養殖ウナギは、ウナギの幼生であるシラスウナギを海から獲り、池などで育て上げたものです。ウナギを卵から育てる完全養殖技術は、残念ながらまだ実用段階には至っていません。

 一方で、天然ウナギは、シラスウナギが海から川へと遡上し、自然の中で成長したものを指します。天然ウナギはその黄色い脇腹で簡単に見分けられます。風味については、養殖ウナギは年間を通じて一定の味が保たれるのに対し、天然ウナギの味は、育った環境や食事、季節などによって異なります。そのため、「天然ウナギの方が美味しい」とは一概には言えません。ただし、淡水と海水が混在する汽水湖、例えば穴道湖で育った天然ウナギは、その美味しさでは養殖ウナギが敵わないとされています。とはいえ、近年ではシラスウナギの獲得量が大幅に減少し、2013年には環境省からニホンウナギが絶滅危惧種に指定されるなど、深刻な状況に直面しています。

牛丼店のウナギとウナギ専門店の違いは?

 通常、ウナギ専門店では、”活鰻”と称される生きたウナギを養殖業者や卸売業者から取り寄せ、店舗内の職人によって手作業で捌かれ、炭火で丁寧に焼かれます。特別な「立場」設備を有するウナギ店では、ウナギは流水中で生きたまま保存され、お客様に提供されるウナギは最高の鮮度を保つことができます。ウナギ料理の美味しさは、「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」と言われるほど、職人の技術に大きく依存しています。

 一方、牛丼店のウナギは、オフシーズンで価格が最も低い時に、中国や台湾から大量に購入されます。これらのウナギは現地で機械を用いて白焼きなどの加工が行われ、その後1年から2年間冷凍保存されます。そして、土用の丑の日など価格が高騰する時期に大量に輸入され、店頭で加熱されて提供されます。つまり、ウナギ専門店と牛丼店では、原材料となるウナギは同一でも、お客様に提供されるまでのプロセスは大きく異なるのです。コンビニエンスストアで販売されているウナギも、これと同じ状況です。

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