
「小肌」の子供「新子」についての説明は、日本の食文化におけるこの独特な魚の成長段階と価値の変化を興味深く示しています。新子、小肌、なかずみ、このしろという順番で成長する出世魚の一つであり、それぞれの段階で名前が変わります。特に「新子」は非常に小さく、一貫のお寿司を作るのに3匹必要なほどですが、最終段階の「このしろ」は、鯵よりも大きく成長します。
「新子」は江戸前寿司の人気ネタで、特に7月中旬からお盆前までの短い期間に入荷します。この時期、新子はまず九州から入り、次に三重、愛知を経て、8月以降に東京湾のものが市場に出ます。一方、「小肌」「なかずみ」「このしろ」は年中獲れますが、新子が利用可能なのはわずか3週間だけです。
新子は夏の風物詩として特別視され、市場に出ると初物好きな江戸っ子によって高い価格で買い求められます。出始めの時期には、一キロあたりかなりの高額になり、近海の大間の本マグロよりも高価です。価格の高さにもかかわらず、売値を極端に高くすることはあまりありません。これは、同じ魚であるにも関わらず、「このしろ」のようにキロあたりの価格が非常に高くなることがあるため、新子の価値はその希少性と季節性に由来することが伺えます。