
お吸い物や水炊き、煮物など、日本料理に欠かせないのが昆布。料理の主役になることは少ないですが、大半はダシに使われ、ダシがきいていない料理は味がいま一つです。その味を補うのが、昆布に含まれるうま味成分のグルタミン酸です。1908年、東京帝国大学の池田菊苗博士が昆布にうま味成分のグルタミン酸があることを発見しました。博士は湯豆腐を食べている際に、昆布だしの美味しさが「甘い」や「しょっぱい」といった味覚では表現できないことに気づき、その不思議な美味しさに興味を抱いて昆布の研究を始めました。やがて昆布からグルタミン酸を抽出することに成功し、このグルタミン酸は調味料として用いられるようになりました。今では、うま味は「UMAMI」として国際的に認知されています。
和食の世界では「ダシをとるなら羅臼(らうす)か利尻が良い」と言われています。昆布はすべて同じだと思われがちですが、産地によって種類が異なり、ダシに適したものや料理に使ったほうが美味しいものがあります。知床半島付近で採れる羅臼昆布や、道北で採れる利尻昆布は、幅が広く肉厚なのが特徴です。肉厚の昆布にはグルタミン酸が豊富に含まれており、硬さがあるため煮崩れしにくく、澄んだきれいなダシがとれます。
一方、根室や釧路で採れる長昆布のように、薄くて長細い昆布は、肉厚の昆布ほどグルタミン酸を多く含んでいません。その代わり、火が通りやすく柔らかくなるため、こぶ巻きのような料理にすると、柔らかい歯ざわりが楽しめます。ダシのうま味をしっかり引き出したい場合は、昆布とカツオ節や干しシイタケなどを組み合わせて使うのがコツです。たとえば、カツオ節に含まれるイノシン酸とうま味成分のグルタミン酸が混ざり合うことで、相乗効果を発揮し、より美味しいダシがとれます。