「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に正式登録されい、全国に先駆けて登録を国に働き変えた京都の料理関係者にも「和食を世界にPRする好機」と期待が広がった。ただ、「和食離れ」がいわれて久しく、食材偽装問題で食への信頼が揺らいでいた時期だけに、「食文化を見つめ直すきっかけに」との声も上がる。
登録に向けて料理界が4動いた背景には、深刻な和食離れがる。「子供たちに好きな和食を聞くと、答えは『ハンバーグ、カレー、スパゲティ』こんな状況を変えたかった。」登録推進を府に働きかけるなど、先頭で活動を引っ張ったNPOほうじん「日本料理アカデミー」の村田吉弘理事長はこう語る。総務省の家計調査によると、米の購入総額の1世帯平均は2011年に2万7,425円と、パンの2万8,321円を初めて下回った。醤油や味噌など、発酵調味料の購入量も減少が続く。阿部組合長は「和食を取り巻く環境は厳しいが、ここからがスタート。京都の料理会が先頭となり、和食世界に普及させることが、料理人としての使命だ」と力を込めた。
京都市は(当時)11月、入管難民法で禁じている外交人調理師の日本料理店での就労を特例で認める国の総合特区に認定された。海外で和食の魅力を広めてもらうのが目的だ。
府も日本の食文化を継承、発信する人材の育成のため、和食を総合的に研究する高等教育機関の設置を目指しており、年内にもあり方をまとめる。
一方、食材偽装が全国的に問題となったが、府内でもホテルや百貨店などで不適切表示が次々と明るみに出た。京都商工会議所は、食品業者やホテル、百貨店の現場責任者らを対象に適正表示に関する緊張セミナーを開いた。担当者は会を増やしたいと語る。「『もう一度学び直したい』という企業も多く、関心が非常に高い」と話した。
農林水産省の無形文化遺産登録に向けた検討委員を務めた料亭「美濃吉」社長の佐竹氏は「登録は『もう一度姿勢を正せ』という警鐘と受け止めたい」と話す。同社の近鉄上本町店では、会席料理に車海老の表示のまま、外国産のイリアン海老を使用していたことが明るみに出た。佐竹社長は問題の背景として問題の背景として外食産業の過当競争を指摘した上で、「どの業者も、メニューで客を安易に引きつけようとした。二度と起こさないようにしたいが、表示基準が分かりにくい現状もある。食品表示について国で統一した指針を示してほしい」と語った。和食を次世代に引き継ぐ努力も続けられている。府は京野菜や宇治茶の生産者、和菓子職人や京の食文化に精通した人を「きょうと食いく先生」として学校に派遣する取り組みを始めた。伝統的な食文化を研究する杉本さんは「だしを使った料理の素晴らしさは世界のシェフも注目している。子供たちに和食のおいしさを知ってもらい食文化を伝え残したい」と話す。日本料理アカデミーも京都市内の小学校で食育授業を行い、若手料理人らを派遣。村田理事長は「子供たちが本物の和食に触れる機会を増やしたい」と語った。