鯛あれこれ
日本ではタイと名のついた魚が非常に多く、数だけでも200種もあります。しかし、本来の魚類学上でタイとは、マダイ、チダイ、キダイを指しています。その他のものは、外見が似ていたり、色合いが似ていたりで付けられた、いわゆる「あやかりたい」です。
旬は産卵期直前の桜の季節と言われ、この頃のタイを「桜鯛」と言って珍重します。日本中どこでも珍重されるマダイは、日本以外では信じられないような下魚として扱われることが多く、中国では死者の肉を食う魚として忌み嫌う風習があったようです。フランスでは「貪欲な下魚」イギリスでは「ユダヤ人の食う魚」また、アメリカでは食用魚でなく肥料にされたりもしています。
正真正銘
「桜鯛」は真鯛の季節名。音読みでは紛らわしいが、全くの別物です。オスの体に桜の花びらを連想させる模様があることが名の由来になりました。水圧の変化にすこぶる弱く、釣れたらすぐ死んでしまうので泳いでいるサクラダイは観賞用に高値で取引されるそうです。体長は10センチほどで、ほとんど市場には出回らないですが一応食用で、味はフライにすると意外に美味だとのこと。
鯛のことわざ
【腐っても鯛】 マダイは鮮度の落ち度が遅いことから転じて、かつての力や価値を失わない事の喩え。
【海老で鯛を釣る】 マダイの釣り餌に小さなエビを用いることから転じ、ちいさな元手で大きな利益を得る事の喩え。
【鯛の尾より鰯の頭】 立派な大組織の中で下働きをするよりも、たとえ組織でもトップに立つようがよい立つようが良いいう喩え。
【鰯七度洗えば鯛の味】 脂臭いイワシも7回洗えばタイのような上品な味になることを転じて、平凡な人でも磨けば能力を発揮できるようになるという喩え。
【鯛や平目の舞い踊り】 高級魚が舞い踊る様から、豪勢な振る舞いの時に喩えられる。
【鯛も独りは旨からず】 どんなに旨いものでも一人で食べたのでは美味しくない。食事は一人よりもたくさんの人と食べた方が美味いものだという喩え。
【海老の鯛交じり】つまらないものがすぐれたものに交じっている喩え。