なぜ関西ではハモが珍重されているのか?

コラム
2025年07月02日

大阪のさつま揚げは、ハモの旨みをベースにつくられる。従って、本場鹿児島の黒褐色のさつま揚げにくらべ、これが同じさつま揚げかと思うくらい色が薄い。淡白な味を好む大阪のことだから、さつま揚げにハモを使うのもうなずける。とはいっても関西でハモが珍重される のは、関西人好みの淡白な味だけが理由になっているわけではない。

ハモは古くから名古屋以西で好まれていたが、海から離れた京都で珍重されたのは、海水を離れても長時間生きるという利点があったからである。一方、海に面した江戸でハモ料理が発達しなかったのは、数そのものが少ないせいもあったが、何よりも江戸の板前がハモ独自の硬い骨を抜く技術を習得仕切れなかったせいだともされる。おかげでハモを扱う鮮魚店はあまり多くない。

江戸時代、ハモの照り焼きは関西ならではの料理だったが、 尖った口に鋭い牙を生やし、ウナギの様に長い体を持つハモは、江戸の庶民にとっては面妖で奇怪な魚でしかなかった。

ハモが美味しいのは、6月〜7月の産卵期で、京阪の夏祭りにはとくに珍重される 。7月の大阪天神祭には欠かせない味だし、京の祇園祭などは別名を「ハモ祭り」と称するほどだ。大阪では、秋もまたハモの季節とされており、泉州産の玉ネギといっしょに炊く「ハモすき」は大阪の秋に豊かな味を添えている。

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